スタグフレーションに関する懸念の流れを追ってみた

米国株投資

はじめに

この記事では投資環境において、新たな懸念材料として取り沙汰されている「スタグフレーション」に関するこれまでの動きをまとめております。

スタグフレーション 動向まとめ

そもそもスタグフレーションとは?

スタグフレーションとは、景気が後退していく中でインフレーション(インフレ、物価上昇)が同時進行する現象のことをいいます。
(中略)
通常、景気の停滞は、需要が落ち込むことからデフレ(物価下落)要因となりますが、原油価格の高騰など、原材料や素材関連の価格上昇などによって不景気の中でも物価が上昇することがあります。これが、スタグフレーションです。
景気後退で賃金が上がらないにもかかわらず物価が上昇する状況は、生活者にとって極めて厳しい経済状況といえます。わが国では、1970年代のオイルショック後にこの状態となっていました。

SMBC

つまり、「景気が悪いのに、物価が高い状況。」
この状況では企業も消費者もモノやサービスを消費しにくくなるため、経済は停滞しますね。
そのため、株価も下落する要因になります。
この投資家にとって、よろしくない状況が起きうるリスクについて、十分に把握している必要があるため、この記事で最近の動きをチェックしてください。

コロナ禍真っ只中からスタグフレーションは懸念されていた

2020年5月、英国の経済学者ロバート・スキデルスキー氏はBloombergのインタビューで、

政府支出が需要を喚起することによって、ロックダウン(都市封鎖)を解かれた世界経済は類い稀(まれ)な「インフレを伴う不況」に直面する可能性がある。

Bloomberg

と説明しています。
加えて、カナダの中央銀行の総裁ティフ・マックレムも、

新型コロナウイルス危機からの経済の回復途上で、物価上昇と成長の停滞に同時に見舞われることになりそうだ。

Bloomberg

と、説明しており、経済の回復途上とはまさに今ではないかと考えられます。

この時期にはスタグフレーションへの懸念に関する記事が色々と出ておりましたが、その後しばらくスタグフレーションという言葉を取り上げた記事はあまり見なくなりました。

バイデン大統領の金融緩和策でスタグフレーションへの懸念が再燃

21年3月にスタグフレーションへの懸念が再燃し始めました。
バイデン政権は1兆9000億ドル(約207兆円)の経済対策を発表しましたが、すでに物価が高騰していた状況の中、更にお金をジャブジャブにする状況になりました。
Bloombergの記事によると、サマーズ元米財務長官は向こう数年間でインフレが加速し、米国がスタグフレーションに陥る確率を3割強と予測しています。
さらに、ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン氏は、バイデン政権の追加経済対策の結果、1970年代のようにインフレが制御不可能な状態になる恐れはないとの見解を示しています。

インフレを抑え込む要因もある

21年4月のBloombergの記事によると、

米リッチモンド連銀のバーキン総裁は13日、米経済に対し「長期的なディスインフレの力」が働いているとし、例として大規模小売店の購買力やインターネットがもたらす価格透明性、低価格製品などへの世界的なアクセスを挙げた。

Bloomberg

つまり、ECサイトなどで、世界中の商品を安く買える現代では、価格競争が激しいため、金融緩和によるインフレにたいし、抑制的な効果が働くと説明しています。
同氏は加えて、今年は消費者物価の上昇圧力を予想しているが、米経済は「スタグフレーションには程遠い」と話しています。

スタグフレーションが起きないという見解を示している専門家もいることは頭にとどめておきましょう。

別の記事で、ニュージーランド準備銀行(中央銀行)のオア総裁は現在のインフレは1970年代のような状況とは大きく異なり、主要中銀は短期的な物価高に騒がず対応できるとの認識を示しています。

70年代と80年代、スタグフレーションの恐怖は全く別の世界だ」と指摘し、「原材料や中間投入材、最終消費財の多くには単一のグローバル価格があり、私たちはそれをグーグルで検索し、待つ準備ができている」

Bloomberg

低調な雇用統計がスタグフレーションの懸念を高める

これまでは物価高騰、すなわち、インフレの影響だけが目立っていましたが、景気鈍化の懸念も出てきました。
21年5月のBloombergの記事によると、4月の雇用統計が失望する内容だったため、景気が鈍化しているとの懸念が出始めました。

さまざまな物品の値上がりや予想よりも鈍い雇用回復、ハッカー攻撃を受けたコロニアル・パイプラインの操業停止に伴う燃料不足の拡大などを批判の好材料と捉える野党共和党からは、カーター政権当時のスタグフレーションと、現政権が置かれた状況との類似性を主張する声も上がっている。

Bloomberg

ただし、インフレ懸念は一時的だという意見もありますし、雇用統計も再度改善する見込みとの理由で、スタグフレーションが大きな懸念になることはありませんでした。

スタグフレーション懸念でポートフォリオ調整の動きが出てきている

21年8月のこちらの記事によると、現在のマクロ経済情勢は1970年代とは大きく異なるが、類似点も幾つか現れているとのことです。
これは、一時的と言われていた、インフレが予想よりも加速し持続している上に、実質経済成長率は低迷しつつあるほか、労働市場に参加できないでいる求職者は引き続き多いという状況を指しています。

ファースト・アメリカン・トラストの最高投資責任者(CIO)、ジェリー・ブラークマン氏は、

「経済が減速する見込みであるほか、インフレは持続するだろう。そのため、経済はスタグフレーション入りする」と分析。 そうしたシナリオ下では、REITとテクノロジー銘柄は依然として好調に推移する傾向にあるほか、金も魅力的に見え始めると指摘した。

Bloomberg

といった見解を出しており、同氏はポートフォリオの調整を始めていると書かれています。
依然としてスタグフレーションが起きるか否かについては、見解が分かれていますが、実際の投資判断に織り込み始めている機関投資家も出てきています。

9月からスタグフレーション関連の報道が増えている

9月に入って、スタグフレーション関連の記事を多く見かけるようになりました。
こちらの記事によると、バンク・オブ・アメリカの調査により、スタグフレーションを懸念が投資家の間で高まっているとの記述が出てきています。
さらに、別の記事にある通り、昨今エネルギー価格の高騰が続いており、さらに先進国や中国、インド等がある北半球が今後冬を迎え、エネルギー価格がさらに上昇することで、スタグフレーションへの懸念がさらに強まると書かれています。

スタグフレーションがトレンドワードに

こちらの記事によると、

ブルームバーグのニューストレンド機能は、スタグフレーションへの言及が今月、少なくとも2011年9月以降の最多に増えたことを示している。

Bloomberg

と書かれており、スタグフレーションへの懸念が今月大きく高まっていることが分かります。
また、バンク・オブ・アメリカ(BofA)の世界ファンドマネジャー調査ではスタグフレーションのリスクが懸念材料トップの一つとして浮上したようです。

債券市場は比較的安定的

こちらの記事によると、経済の優れた審判である債券市場(らしいです)はスタグフレーションを恐れた値動きになっていないようです。

ンフレ連動米国債が示唆する今後10年のインフレ期待は米連邦準備制度の目標付近の水準にあり、米国債のイールドカーブもフラット化しスタグフレーション期の傾向に逆行している。

Bloomberg

とのことです。ただし、株式市場も21年9月時点ではスタグフレーションの懸念を織り込んでいる気配はありませんし、社債も恐らく現時点では織り込んでいないのではないかというのが個人的見解です。

FRBの利上げの前倒しの可能性も

こちらの記事では下記の通り、サプライチェーンの混乱により、インフレは「一過性」ではなく、今後も長期的に継続する可能性があることを示唆しております。

  • アジア諸国では新型コロナウイルスワクチンの接種率がまだ低い
  • 米国の消費者物価指数を構成する耐久財のほぼ全てが、接種率が国民の3分の1に満たない国や地域に依存している

これが加速すると、労働者の賃上げ要求や企業の値上げが止まらなくなり、さらなるインフレスパイラルになる可能性があるとのことです。
そのため、現在23年頃と見込まれている利上げも、22年中に前倒しされる可能性が高まっているようです。

スタグフレーション懸念は長期化する見込み

大和総研のレポートによると、

インフレ加速が落ち着くとは言い切れないことに加え、雇用環境の回復が再加速するまで幾分時間がかかることから、スタグフレーション懸念は当面残存し得る。

大和総研

と書かれているように、今後投資に際して、スタグフレーションを常に意識する展開が続きそうです。

以上、追加情報がありましたら、折を見て更新いたしますm(_ _)m

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