景気動向の重要指標:10/1発表の日銀短観の業況判断の注目ポイント

米国株投資
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はじめに

このページでは、日銀短観の業況判断のポイントについてまとめています。
日銀短観とは日銀が日本の大企業、中小企業に直接アンケート調査をした集計結果や分析結果を元に、日本の経済についてまとめたレポートのことです。
日銀短観の特徴は、調査した月の翌月には、データが発表されるため、速報性の高い情報として、重要な経済指標とされています。
正式には「企業短期経済観測調査」という名称です。
ちなみに日銀短観はこちらのページで確認できます。

業況判断について

日銀短観では業況判断という項目が最初に提示されており、短期的な将来動向を見る上では非常に重要な指標となっています。
業況判断とは、各業界、各企業に、確認した業況感の良し悪しを指数化したもので、下式で計算されます。

業況判断 (%ポイント)= 「良い業況(%)」ー「悪い業況(%)」

この業況判断は最近の業況、先行きの業況の2つを指数化しております。
ちなみに%同士の足し引きをした値は「%ポイント」と表現されます。

例えば、繊維業の業況判断は、

  • 最近:-16%ポイント
  • 先行き:-8%ポイント

となり、どちらも悪い業況が、良い業況を上回っているものの、先行きの方が、絶対値としては小さくなっており、業況は改善方向に向かっていると判断できます。
このような業況判断を様々な業界にアンケートを取り、集計したものが日銀短観の中で業況判断という項目に表されております。
詳しくは、実際のレポートを見ていただけると分かりやすいと思います。

業況判断一覧表

実際の日銀短観の資料には、「大企業」、「中堅企業」、「中小企業」の3種類の企業規模それぞれに対し、業況感をまとめていますが、この記事では、市場影響の大きい「大企業」に絞って紹介させていただきます。

大企業の業況感の一覧は下表の通りです。

大分類小分類最近の業況感先行きの業況感
製造業製造業全体1814
製造業繊維-8-8
製造業木材・木製品240
製造業紙・パルプ1911
製造業化学3120
製造業石油・石炭製品186
製造業窯業・土石製品45
製造業鉄鋼137
製造業非鉄金属3312
製造業食料品92
製造業金属製品93
製造業はん用機械3427
製造業生産用機械3438
製造業業務用機械168
製造業電気機械3026
製造業造船・重機等-26-18
製造業自動車-72
素材業種素材業種2011
加工業種加工業種1714
非製造業非製造業全体23
非製造業建設1713
非製造業不動産1218
非製造業物品賃貸107
非製造業卸売1515
非製造業小売-40
非製造業運輸・郵便-3-3
非製造業通信2921
非製造業情報サービス2525
非製造業電気・ガス-21-24
非製造業対事業所サービス3830
非製造業対個人サービス-45-18
非製造業宿泊・飲食サービス-74-59
全産業全産業109

この表を元にグラフを作成すると下図のようになります。

日銀短観を元に筆者作成

このグラフを元に、この業況感から見て取れる情報を抽出したいと思います。

機械業界の業況感の良さは底堅いが、先行きの良さはバラつきも

グラフの真ん中よりやや右側の「はん用機械」、「生産用機械」、「業務用機械」、「電気機械」という機械業界の業況感は、他の業界と比べて非常に強い傾向にあります。
ただし、先行きについては、やや後退感があるのが否めませんが、「生産用機械」については、先行きの業況感はさらに改善しています。
今後日系企業に投資する方は、「生産用機械」に関わる企業への投資を検討しても良いかと思います。
「生産用機械」とは、製品を生産するために、工場に設置される機械のことを指します。
昨今の半導体不足を考えると、半導体製造装置は好調だと思われます。

素材系の業界は軒並み先行き見通しが後退

グラフ左側の繊維や、化学、鉄鋼等の素材産業は、繊維産業を除き、業況感はプラスであるものの、先行きについては概ね後退している傾向にあります。
特に非鉄金属業界の先行き見通しの悪化が大きいです。
非鉄金属には様々ありますが、恐らく電力不足によってアルミニウムの生産が落ち込む影響が大きいのではないかと考えます。
アルミニウムは製造時に大量の電気を使うため、電力の供給不足や、電気料金の値上げの影響を受けやすい産業です。

Bloombergの記事によると、

中国政府による電力消費の取り締まりは、電力需要の高騰や石炭・天然ガス価格の高騰、温暖化ガス排出抑制に向けた厳しい政府目標が背景にある。その影響はまず同国の巨大製造業界に及んでおり、アルミニウム精錬所から大豆加工施設まで広範な工場が稼働水準の抑制や停止に追い込まれた。

Bloomberg

日本の製造業は中国にも数多く進出しておりますので、中国の景気減速は日本の製造業にとっては大きなダメージとなります。

自動車業界の業況感はマイナスからプラスに転じる

今年に入ってから半導体不足に苦しみ続けている自動車業界の業況感はマイナスからプラスに転じています。
まだ絶対値として、小さな値のため、どうなるか分かりませんが、半導体不足が和らいできていることを示唆しているのかもしれません。

ただし、Bloombergの記事によると、ルネサスの柴田社長は、半導体不足解消問題は依然として落ち着きを見せていない旨の説明をしているため、今回の業況感のプラ転にはあまり関係ないかもしれません。

サービス業は業況感の先行きは改善の見通しだが、まだまだ厳しい状況

最後に右側の方の項目のサービス業を見てみましょう。
まず、業界全体と比較しても、対個人サービス、宿泊・飲食サービスの業況感の悪さが目立ちます。
これは新型コロナの影響であることは言うまでもありませんが、10月以降緊急事態宣言が解除された中で、多少の業況感の先行きの改善はあるものの、依然として低い値であることが分かります。
今後もこの状況が続くのか、非常に心配ですね。

ちなみに、唯一業況感の良い、「対事業所サービス」とは、卸売業,倉庫業,貨物運送業,修理業など,生産物の流通,保管,修理のように生産物と強いかかわりをもつサービスを指しています。

投資家は経済指標を確認する習慣が大切

21年9月に入って、これまで絶好調だった米国株式市場も停滞気味になってきましたね、このような株価の転換点では、特に経済指標を確認することが重要です。
そもそも経済指標の見方が分からないよ、という方は、それぞれの経済指標の特徴や見方を学ぶことをおススメいたします。
一生使える知識ですので、学んでおいて損はありませんよ♪
経済指標に関するいくつかの書籍を紹介させていただきますので、ご一考くださいね(^^)/

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